占術の岩床は、冠雪の山よりも強いか

 <占術の岩床>といえば、実質3マナを支払い大体30~40%の確率でカードを1枚引く能力を持った、強力な氷雪地形だ。カードを1枚引くのに結構なマナがかかるが、コールドスナップ世代の多くのコントロールデッキ使いに愛された。土地のスロットに入るアドバンテージ獲得手段は、特にコントロール同士の長期戦になった時頼りになったものだ。最近ではモダンのSk-Red(日本語公式サイト)という赤コントロールに採用されて、その性能が再評価されてきている。

 さて、そんな<占術の岩床>だが、EDHの赤単デッキには入るだろうか?…当落線上だが、個人的にはNOだと考える。今日はその理由について書いていこう。

 ※なお、当ブログにおけるEDHの考察記事に関しては「無限コンボを採用しない」「最速で誰か一人を脱落させようとしない」カジュアルなデッキ構築を想定している為、環境によっては<占術の岩床>が優先して採用される可能性は十分あります。


モダンのSk-Redおける占術の岩床

 Sk-Redに占術の岩床を採用する理由として最も大きいのは、「雪崩しの邪魔をしない」事だと私は考える。つまり消去法だ。

 どういう事かと申し上げると、この赤単デッキに20枚以上の氷雪土地を採用する理由が、<雪崩し>を使う為だからである。このカードはたったの1マナのインスタントでありながら、自身のコントロールする氷雪パーマネントの数だけクリーチャーにダメージを与える、強力な除去だ。したがって少しでもダメージ効率を上げる為に、デッキの土地は殆ど氷雪土地にしたい所であるが、かといって全て<冠雪の山>にするのも少々もったいないので、<占術の岩床>が入っているというワケだ。

 大抵のSk-Redには2枚<占術の岩床>が採用されている。2枚であれば消耗戦になった時自然に引き込めるだろうし、かといって序盤にダブついて赤マナが出ないなんてこともない。<槌のコス>からマナが出ないのと、環境に存在するごく少数の特殊地形対策に巻き込まれるかもしれないという些細なデメリットはあるが、十分許容範囲内だろう。

EDHにおける占術の岩床

 前置きが長くなったが、EDHでの<占術の岩床>について説明しよう。EDHにおいてはモダンと比べると<占術の岩床>を使うメリットが少なくなっている。その理由を以下に挙げる。

 まず1つ目の理由は、<雪崩し>と<占術の岩床>を1枚ずつしか採用できないという事だ。モダンと違い、EDHはハイランダーで、更にデッキ枚数が100枚である。つまり<雪崩し>の威力を上げる為に氷雪土地を増やしても、その影響はモダンよりも小さいのだ。

 そうなると、氷雪土地の枚数を減らして、<露天鉱床><山賊の頭の間>のようなEDH特有の強力な特殊地形を使った方が効率が良くなってくる。そして、そういった特殊地形の割合が増えると、<占術の岩床>がヒットする確率が減る。この理屈で言えば、大型クリーチャーを焼く為にデッキの土地を冠雪で埋めるという構築も悪くないのだが、<占術の岩床>への向かい風は他にも存在する。

 2つ目の理由は、EDHでは「山」である事を参照するカードが多く使われているという事だ。<溶鉄の尖塔、ヴァラクート><魔力の籠手><かごの中の太陽>といったカードは山を並べる事で威力を発揮する。仮にデッキから<占術の岩床>を引いた場合、岩床の能力で(平均6~9マナ程度支払い)<冠雪の山>を引かない限り上記のカードのメリットを享受できない。しかし、その岩床のスロットを山に変えれば、引いて即座にアドバンテージを得ることができる。この差は大きい。

 一方で、<占術の岩床>にとって追い風になるのは、EDHにおいて<師範の占い独楽>がリーガルだという事だ。岩床と独楽は当時のスタンダードでもよく見られた組み合わせで、呪文のスロットを圧迫せずに実質4マナで1枚引くことができる。これはなかなか良い取引だが、2枚コンボであり赤単が安定して揃える事はできない。また、土地関連のドローソースとして<カー砦>と<頭蓋骨絞め>の組み合わせ(かの有名なコボルドクランプだ!)が存在する事にも一応触れておきたい。


結論

 個人的な結論として、赤単EDHにおける<占術の岩床>は、<魔力の籠手>のような山を参照するカードや、他の強力な特殊地形が存在する事もあって、積極的に採用したいカードだとは思わない。

 しかし、<占術の岩床>は<師範の占い独楽>や<巻物棚>と組み合わせる場合には良いアドバンテージ源となるので、それらのカードを安定して引き込める構築ならば悪くない選択肢ではあると言える。また、多色デッキでかつ、特定の基本地形を参照するカードを入れていない場合にも、一考に値する。


画像引用元:
http://magiccards.info/cs/en/149.html
http://magiccards.info/cs/en/154.html

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